平和教育広島国際フォーラム - 世界に広がる平和教育ネットワーク
日 時:2013年8月6日午後2時30分から午後7時
場 所:アステールプラザ大会議室A参加費:1000円(学生無料)
報 告:
「教育がつなぐ戦禍の子どもたち―過去の戦禍の子どもたちのメッセージを今に伝えるー」高木 洋子(JEARN)
「ピース・フィロソフィーセンターの平和教育的意義―憲法9条と核廃絶、沖縄をつなげる」乗松 聡子(バンクーバー・Peace Philosophy Center)
「留学生から見た日本の平和と平和教育」中矢 礼美(広島大学)
後 援:広島県, 広島市
4人のスピーカーを迎え、それぞれ発表をいただいた。
高木洋子さんは、平和への願いは、満州で生まれた自身の体験にもとづくとされた。終戦となったが、旧ソ連による略奪や強姦を目の当たりにし、いのちかながら引き揚げたという。その後、銀行に勤め、40代で一念発起してハワイに留学するうちに国際交流のための電話会議のシステムを託された。iearn は東西冷戦の頃、米国とソ連の青年の対話をするためにはじめられ、その後、大きく成長した。本年はカタールで世界大会がひらかれた。iEARNの日本の支部にあたるのが、JEARNであり、20周年を迎える。iEARNではたくさんのプログラムをとおして、交流をするプロジェクトが展開されている。それらは、それぞれの発案で、承認を得て、すすめられる。Hiroshima for Peaceは松谷みよこの「まちんと」という絵本を読んで、自らの地域での平和を求めるオリジナルのバージョンをつくるというものだ。これまで、助成を得て100冊余り海外におくり、数年のうちに、さまざまな国から集まってきた。トランクいっぱいの作品も事務局送料負担で届けることができ、実践のための活動に役立っている。平和関連では「ねがい」という歌のつづきをつくることは、iEARNの世界会議を神戸で行った際、発案されたものである。また、プロジェクトにはなっていないが、アンネフランクのパネル展は、説明の内容を書き込むワークシートも用意され、よい学習の契機になるので、活用されるとよい。また、同時代的に進行する例えば、イラクでの子どもたちがあきらかに放射線や化学兵器被害と思える状況にある。医学を学びに日本へ留学している方との交流から、支援をしたいとのことであった。
乗松さんは、1997年からカナダに住んでおられる。憲法9条の会をバンクバーではじめたところいろいろなつながりがでてきた。劣化ウラン弾ヒロシマ会議で広島をおとづれた。今年はピーラーカズニックさん、オリバーストーンさんらとともに東京・広島・長崎・沖縄を訪れる。2人は米国の良心ともいえる。「原爆が戦争をおわらせた」という神話にたいして、実際の要因は「ソ連侵攻」とのこと。米国の保守勢力に「いごごち」の悪い発言であり、そういうことを教える勇気を示してくれている。つまり自分が世のなかの問題のあることに加担しているというこを知り襟をただしたい。環境問題のみならず、軍事化やグローバリゼーションとも連動する。また、昨今の日本の排外主義とつらなるナショナリズムは問題である。ヒロシマ・ナガサキからのことが今に生きているのか、沖縄をみると、米国との軍事同盟として核の傘のもとにあり、沖縄に問題を押し付けていることになる。基地問題(とくに沖縄)を抜きにして、9条や核廃絶は言えないのではないか。
中矢さんは、留学生にたいする平和教育について問いかけから報告された。
「どのような平和教育を受けたか」にたいしては、例えば、アフガニスタンの人はタリバンによる抑圧とその影響(女子教育の障害、治安の悪さ、教科書における暴力的な要素の多さ)は現在も進行中であること、また。カンボジアの人はポルポト時代の記憶が鮮烈であり、平和とはどういうことかを問う必要もないとのことであるが、これからどのように平和を築きべきかについての教育がないので望まれるということ。「日本の平和教育についてどう思うか」ということについては、中国の学生は日本人は他人のことばかり気にかける教育で自分の本当の気持ちを殺すような教育で、平和教育ができると思えない。台湾は、取り立てて平和教育をするのではなくて、いじめがなくなるように生活の中で常に平和を教えるべきでは。「平和教育に何を望むか」については、中国の人から日本が軍国主義化していかないように、選挙権の大切さを教える授業が大切、ニュージーランドの人からは日本の防衛費がいかに高いかを教えるべきではという意見が出されたことが報告された。