これからの平和教育~未来を創るための提言

パネルディスカッション

日 時:2013年1月28日(月)18:30~20:30 開場18:00

会 場:広島平和記念資料館 東館 地下会議室1

(広島市中区中島町1-2 東館南側のドアよりお入り下さい)

資料代:500円(当日会場で受付いたします。学生:無料)

後 援:広島県, 広島市, 中国新聞社

主 催:平和教育地球キャンペーン中四国支部 http://gcpej.jimdo.com/

問合せ:平和教育地球キャンペーン中四国支部事務局(赤松敦子)

e-mail: peacemessagestakamori@yahoo.co.jp 

これまでの平和教育の成果と問題点を踏まえて、これからどのような平和教育を展開していくべきなのでしょうか?様々な分野で平和教育に関わっておられる4人のパネリストの皆様のご提言から、私たちの平和な未来を創る方法を一緒に考えてみましょう。

 

コーディネーター紹介

卜部 匡司

広島市立大学国際学部准教授 専門は、教育学(特に比較国際教育学)で、主にドイツの教育。近年では、ESD(持続可能な開発のための教育/持続発展教育)に関する研究を行っている。2007年に広島大学大学院教育学研究科で博士(教育学)を取得し、徳山大学経済学部准教授を経て、本年4月より広島市立大学に着任。著書:『ドイツにおける通信簿の歴史―システム論的機能分析』

 

パネリスト紹介(姓50音順)

「平和へのアドボカシー:信頼の回復が教育にできるか」

日頃の不安や不満、無力感がただよっているが、誰でも平和を願っている。貧困や暴力が蔓延する中、どうしたらよいのか。世界には様々な動きがある。平和教育地球キャンペーン(GCPE)や国際平和研究集会(IIPE)、紛争予防のためのグローバルパートナーシップ(GPPAC)の平和教育部会に関わり、学び、創ってきた、人びとの平和への願いをつなげていく様々な活動を紹介したい。

淺川 和也(平和教育地球キャンペーン・東海学園大学人文学部教授)

   英語教育の中で平和や人権、環境問題を取り上げる教材作りや仲間とともに学ぶ参加型の方法を提案してきている。国際的な平和教育のネットワークに参加している。著書:『地球市民への入門講座 グローバル教育の可能性』(共著)、『平和をつくった世界の20人』(岩波ジュニア新書)(共訳)、『戦争をなくすための平和教育』(ベティ・リアドン等著)(監訳)

 

「フクシマといじめ」

平和を希求するとき、構造的な暴力の特徴を明らかにし、それを解消していく道を示していくことは、重要な柱の一つだと考えられる。今の日本では、小中学生のほぼ9割がいじめに関わっているとされ、他人を信じられず、誰しもがいじめの対象になる可能性があるなかで、暴力を見て見ぬふりをせざるを得ない状況に追い込まれている。これはおとなの社会の反映であり、福島での被害の実態を見て見ぬふりをする行為にも通じている。そうした行為がなぜ社会を覆うようになったのか、そしてそこから私たちが救われる道はどこにあるのか、問題提起をしたい。

布川 弘 (広島大学大学院総合科学研究科教授・平和科学研究プロジェクト代表)

専門分野:広島の復興と内部被曝の影響、著書:『近代日本社会史研究序説』、『平和の絆 新渡戸稲造と加川豊彦、そして中国』

 

「平和の利用法」

原子爆弾を作るために重宝するのは原子炉。核兵器のカムフラージュに使われるのは核燃料。「平和利用」と「軍事利用」を巧みに分けた原発のPRキャンペーンは、「世紀の詐欺」といっても過言ではない。いくら「平和」の包装紙に包んできれいに見せかけても、死の灰は死の灰だ。ヒロシマとナガサキとフクシマを乗りこえていく道は、核廃絶の道――。もちろんその「核」には、燃料も兵器も含まれる。

アーサー・ビナード(詩人)

『ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸』で日本絵本賞を受賞。『さがしています』では被爆者の遺品の写真に詩を添えて紹介。『泥沼はどこだ』は小森陽一氏との平和についての対談。9条の会憲法セミナー『憲法9条の輝きを日本に世界に』、核戦争防止和歌山県医師の会主催講演会『夏の線引き─アメリカからピカドンを見つめて─』等平和についての講演多数。

 

「差別といじめは戦争文化そのもの」

  核兵器、環境破壊、人種差別、家庭内暴力からいじめに至るまで、すべて同じ問題に端を発する現象だ。人類がこの地球上で生き残ることを望むのであれば、最初に取り組むべき課題は、核兵器の廃絶だろう。核兵器の問題は基本的に人間の意識の問題なのだ。被爆直後、森瀧市郎氏は、人類は力の文明から愛の文明へと脱却すべきだと説いている。それができなければ、人類に未来はない。

スティーブン・リーパー(公益財団法人広島平和文化センター理事長)

平和市長会議米国代表、広島文化センター専門委員等を経て現職。著書:『ヒロシマ維新』、Children of Paper Cranes(翻訳)、Discounted Casualties – The Human Cost of Depleted Uranium(翻訳)