ヒロシマ武蔵野ピース
日 時:2013年4月28日(日)午後6から7時30分
場 所:武蔵野プレイス・スペースB
http://www.musashino.or.jp/place.html
内 容:スカイプ利用による広島・岩国・武蔵境をむすぶ会合
参加者:角崎[広島], 赤松[岩国], 竹内・淺川[武蔵境]
ヒロシマ武蔵野ピース(2013年2月17日)報告
CIPEは平和教育の地域展開を目指している。1月末に広島でパネルディスカッションには80名ほどの参加者があった。今後の展開を構想するために山口・広島と武蔵野市(3名)をむすぶSkype会議をおこなった。
戦後平和教育の軌跡(竹内久顕編著『平和教育を問い直す』法律文化社・2011)を踏まえ、竹内さんのおっしゃる4つめの乖離を解決していくことが、わたくしたちの仕事のように思う。平和教育学として、大きな枠組みをとらえる一方、現場のニーズは、明日の授業をどうするか、授業のすすめ方や教材にあり、すぐ使えるワークシートが欲しいというのも正直なところである。平和教育の地域固有の展開において、地域からの発信をするには、まずは、少人数で、率直に、広島での平和教育と日本の平和教育の固有性と普遍性をあぶりだすなかで、課題が見えてくるであろうというのが、竹内さんの意見であった。
広島には、これまでさまざまな平和教育の実践の蓄積がある。しかし、広島県下では、1999年の「是正指導」*以来、平和教育のとりくみが減っている。平和記念公園や平和資料館での課外学習もできなくなっているとの報告もある。広島市では、以前どの学校も特設授業を組んで平和学習を行っていたが、「是正指導」以来、縮小される学校が多くなった。ただし、市民の側からもっと平和教育をという声もあり、広島市では市教委が広島市立学校「平和教育プログラム」**をつくったとのこと。これまで重厚な実践のあった地域では、ユニットイメージにある3日くらいに矮小化される危惧がある。しかし、あまりなされていないところでは、平和教育の進展がすすむということでもある。
他方、平和教育における戦争体験の継承や被ばく体験の継承でも、リアリティを欠くという指摘もある。下嶋哲朗のような「平和は「退屈」ですかという問いかけに、わたしたちがどうこたえていくかが問われるのである。竹内さんは、著書のなかで、基町高校の創造表現コースの学生による「次世代と描く原爆の絵」(広島平和記念資料館主催)の創作、武蔵野市における生徒が戦争体験を劇にしたとりくみ、広島女学院中高の生徒が修学旅行で広島を訪れたフェリス女学院の生徒を碑巡りの案内をするとりくみを紹介されている。学びがリアリティを欠いているということは、平和教育のみの課題ではないが、学んだことを伝えることで、その意義を深めているといえる。それにたいして、広島では、近年、被爆者が高齢になり、被ばく体験の継承において、今は自分たちの責任を中学生ながら自覚しているとの指摘が角崎さんよりあった。
こうした課外での実践にくらべて、授業での実践がなかなかしづらい、というのが現状であろう。ただし、学習指導要領をよく読むと、平和教育を入れる余地はたくさんある。「新しい教科書をつくる会」の教科書が採択されることも杞憂ではなくなってきた。それにたいして、現場において、つくる会の教科書の記述の矛盾点を考えさせるような授業も展開できると思われる、というお話もいただいた(「『新しい歴史教科書』採択後の対策を」『教育 №668』国土社・2001年8月)。
竹内さんは、特別な時間(領域)でおこなうのを「とりたてて」の平和教育であると位置づけている。かつて教科横断的なカリキュラムの展開が言われた時期があった。「とりたてる」とともに、人権や環境、平和などの課題は、あらゆる教科に浸透させることが構想されてよい。
教師の多忙化はあるが、「原爆の日のプレイボール」の教材化がなされたり、「ねがいコネクションとして」歌詞をつなぐ実践も続いている。今後、さまざまな活動を続けられている退職教員、たとえば忍岡妙子(元小学校教員)さんや、高校生の活動を推進した澤野重男さん(元安田女子高校)などの実践者に、お話を聞いたり、「平和教育プログラム」にかんして良心的な学校長を囲んで懇談することもしてもよいかもしれない***。
3月30日(予定)の集まりをへて、その後、また、8月6日の午後に何か集まりをもつことも企画したい。
*「一九九八年五月二十日、文部省(現文部科学省)が広島県教委に対し「是正指導」した。入学・卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱の徹底をはじめとする十三項目。県教委は以来、法令順守、児童、生徒の学力向上などの取り組みを進め、それは成果と同時に、急激さゆえの「ひずみ」も生む―。」(中國新聞)
***中高生の平和活動ヒロシマ 僕から私から」(中國新聞)
http://www.chugoku-np.co.jp/hiroshima-koku/special/index_20110327.html
{ご指摘がありましたので、3月16日Ver2に改訂しました]