平和教育福岡ミーティング
日 時:2013年9月5日(木)午後6時から7時30分*
場 所:福岡女学院天神サテライト(福岡市中央区天神2-8-38協和ビル9階)
話題提供:淺川 和也(東海学園大学)
協 力:Jack Brajcich
*終了後懇親会を予定。
Peace Education Fukuoka meet
by Global Campaign for Peace Education
Date/Time:Sept. 5th, Thursday 2013, 6 pm -7:30 pm
Venue:Fukuoka Jogakuin Tenjin Satellite ( Tenjin 2-8-38, Kyowa buld. 9F)
Fee:Free
〔報告〕博多・天神の福岡女学院大学のサテライトにて、ジャック・ブライセチさんの協力いただき、会合をもつことができた。足立力也さん*や福岡にある私立中高に勤務されている方の参加もあった。
ジャックさんはオレゴン出身、もう日本に来て、その方がそろそろ長くなるかといったところ。JALT(Japan Association for Language Teachers)の福岡支部長を7年間されたとのこと。Live Strongというガンとたたかう人びとを支援する団体のリーダーであり、ジャパンフォーリブストロング**としてもさまざまな啓発活動にたずさわっておられる。5年前、研究のために米国に戻られて際にお子さんが現地でボランティア活動をしなければならなくなり、いろいろ調べるうちに社会的な課題を自分の授業で扱うようになったという。現在は、JALTのGILE(Global Issues in Language Education)部会の九州支部の責任者もされており、最近では、学生がメディアでの発信をする試みをしている。ユニセフ協会は、ここ数年、五嶋さん(東海大学)との連携ですすめている「ワンミニッツビデオ One Minute Video ~世界へ届けよう1分間の映像メッセージ」***にも取り組み、学生さんは世界コンテストに出品するようにまでなった。
足立さんは、平和活動・コスタリカ研究家であり、平和は、戦争に反対するのみでなく、つくるものだと力説された。平和のために、いったんそうでない状態を教えるのがこれまでの平和教育で、当然、戦争を扱うことになる。コスタリカはまるっきり理想郷であるかというとそうではない、さまざまな問題をかかえている。しかし、国民の96パーセントが軍隊は必要ないという応答には、何かがあるにちがいない。学級や学校そして地域で、意見を交わし合意を形成することを学んでいる成果として注目できる。
平和教育は、北米では民主主義教育だとも言われる。平和について教えるのみならず、教室そして学校、地域を平和(Peaceable)にするための活動が平和教育ともいえる。京都教育大学の村上さんが提案する平和形成力がその根幹ではないか。まちづくりでは、地域での対立を解決することが課題となる。平和教育の会合に、保護司や警察、青少年健全育成、薬物対策関係者も参加されていたことが印象的であった。最近のミーティングには、国際協力やメディア関係者も参加されて、広がりはあるが、日本では、そのような暮らしに生かす平和教育が可能かどうか。
日本の学校教育は教科偏重で、かつて教科横断的に環境や人権を学ぶことが推奨され、また総合的な学習の時間では、環境・国際理解・情報・ボランティアなどのとりくみもすすめられたが、縮小されつつある。戦後は、問題解決学習やコア・カリキュラムによる経験学習がすすめられたが、這い回る経験主義との批判から、経済成長にともない系統学習による成果主義によってしりぞけられた。コスタリカにような話し合いによる学習は、効率的でないといわれるが、自ら学ぶちからこそ、平和形成力なのであろう。もちろん戦争をまっこうから扱うばかりが平和教育ではないが、すじがねいりの教師が引退していく昨今、そうした先達の宝を受け継ぐのも必要かとも思う。
* http://www.adachirikiya.com/
** http://japanforlivestrong.org/?p=106&lang=ja
*** http://www.unicef.or.jp/oneminute/join.html
文責・淺川 和也